大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)1013号 判決

被告人 成沢高雄

〔抄 録〕

被告人の控訴趣意第三点について。

原審第一回公判調書によると、原審検察官が同公判期日において所論のように公判開始早々被告人の前科の陳述に入つたことは認められないが、原審検察官が冒頭陳述において被告人は窃盗の常習者であり、犯行当時も金銭に窮していた事実を挙げていることは同公判調書によつて明らかである。しかしかかる事実は訴因である窃盗が前記のように被告人の否認しているところである本件において被告人の所為であることを立証するため必要な事項であり、しかも本件においては記録上原審検察官が証拠とすることができず又証拠として取調の請求をする意思のない資料に基いて右の事実を陳述したものとは認められないのであるから、原審検察官が冒頭陳述において右の事実を明らかにしても刑事訴訟法第二九六条に違反するものではない。

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